
FIELD文化の現場から
手のひらに、日本の旅を——品川アーティスト展2026で出会った大井美深のミニチュア郷土玩具
品川区民芸術祭「品川アーティスト展2026」へ。KOHGA CULTURE登録文化人・大井美深氏が手がける、指乗りサイズの郷土玩具と蚊やり豚の箱庭作品を中心に、「かわいい」「つくってみたい」から始まる文化との出会いを訪ねました。

KOHGA CULTURE PERSON
おおい みゆき
造形作家/指乗り郷土玩具職人
全国各地に伝わる郷土玩具を、指先に乗るほど小さな造形へ。伝統の魅力と地域に息づく物語を、親しみやすい作品と体験を通じて次の世代へつないでいます。
郷土玩具を指乗りサイズで表現する造形作家。屋号「salmons」として、日本の地域文化を小さく、かわいらしく、現代の暮らしへ届けています。
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ABOUT
大井美深は、ミニチュア郷土玩具と蚊やり豚アートを中心に活動する造形作家。屋号「salmons(サーモンズ)」のもと、2017年から、ものづくりを愛する3人で「日本KOMONOプロジェクト」を展開しています。 旅先で郷土玩具に出会っても、飾る場所がないため購入をためらってしまう。その身近な課題から、指先に乗るほど小さな「指乗り郷土玩具」が生まれました。赤べこ、だるま、起き上がり小法師など、全国各地に伝わる郷土玩具を小さな造形として表現するほか、伝統的な題材に遊び心を加えた「neo郷土玩具」も制作しています。 「ゆきだるま企画」として地域イベントや親子向け企画にも参加。作品の制作・販売だけでなく、日本文化を楽しみながら学べるワークショップや体験づくりにも取り組んでいます。伝統を堅苦しいものとして扱うのではなく、小ささ、かわいらしさ、思わず笑顔になる表現を通じて、現代の暮らしと地域文化を結び直しています。
「日本KOMONOプロジェクト」として、赤べこ、だるま、起き上がり小法師などをモチーフにした指乗りサイズの郷土玩具を制作し、オンラインショップを中心に販売しています。 昔ながらの郷土玩具を再構成した作品に加え、食べ物や動物などのモチーフを組み合わせた「neo郷土玩具」、季節ごとのセット作品、蚊やり豚を使った箱庭作品なども展開しています。 また、地域イベントや親子向けワークショップに参加し、ものづくりを通して日本各地の文化に触れる機会を提供しています。
大井美深の作品の背景には、日本各地で育まれてきた郷土玩具の文化があります。 赤べこ、だるま、起き上がり小法師などの郷土玩具には、魔除け、無病息災、商売繁盛、家内安全といった人々の願いが込められています。土地ごとの素材や造形、色彩、伝承を持ちながら、庶民の暮らしに寄り添ってきた文化です。 大井は、こうした郷土玩具を指先に乗るほど小さな姿で再構成しています。さらに、現代的なモチーフやユーモアを加えた「neo郷土玩具」によって、伝統と現在の暮らしを柔らかく結んでいます。
STORY
旅先で出会う郷土玩具には、その土地の歴史や願い、人々の暮らしが凝縮されています。一方で、「欲しいけれど、家に飾る場所がない」という理由から、購入を諦めてしまうこともあります。 そうした身近な「置き場所の問題」に着目し、「ミニチュアサイズなら、もっと気軽に郷土玩具を暮らしへ迎えられるのではないか」と考えたことが、指乗り郷土玩具の出発点となりました。 ものづくりを愛する3人で2017年にオンラインショップを開始。小さいものならではの愛らしさを生かしながら、全国各地の郷土玩具を指先に乗るほどの造形へと表現する「日本KOMONOプロジェクト」へ発展しました。
郷土玩具は、単なる飾り物ではありません。その土地の風土、信仰、祭り、暮らしの知恵や、人々が込めてきた願いを伝える小さな文化の器です。 しかし、暮らし方や住環境が変化するなかで、伝統的な郷土玩具に触れる機会は少なくなっています。そこで、指先に乗るほど小さく、思わず手に取りたくなる形にすることで、郷土玩具を知る新しい入口をつくっています。 伝統をそのまま縮小するだけではなく、現代的な感覚やユーモアを取り入れながら、その背景にある地域文化へ関心を広げていくこと。作品を通じて「これはどこの玩具なのだろう」「どんな願いが込められているのだろう」という好奇心を生み出すことを大切にしています。
2018年、「アートな蚊遣り豚コンテスト」で優勝したことは、日常的な民具や郷土的なモチーフに新しい物語を与える活動が評価される契機となりました。 その後も蚊やり豚を舞台に見立てた箱庭作品を発表し、2019年に準優勝、2023年には「ねぶた祭り」を題材とした作品で再び優勝。地域文化と遊び心を組み合わせた独自の表現を深めてきました。 さらに、和歌山県衣奈海岸のおみやげ制作、ブルキナファソに関わるおみやげ制作、親子向け文化体験などへ活動が広がり、小さな造形が地域や世代をつなぐ可能性を実感しています。
全国には、それぞれの土地で大切に受け継がれてきた郷土玩具や、まだ広く知られていない文化的なモチーフが数多くあります。 今後は、各地域の作り手や自治体、文化団体、教育機関などと連携し、その土地ならではの物語を伝える新しい指乗り郷土玩具やおみやげを生み出していきたいと考えています。 作品を集める楽しさだけでなく、子どもから大人までが日本文化を身近に学べる展示やワークショップにも取り組み、小さな郷土玩具から地域文化への関心が広がる場をつくっていきます。
郷土玩具には、その土地に暮らしてきた人々の願いや、地域ならではの物語が詰まっています。 少し難しく感じられる伝統文化も、小さく、かわいらしい姿になることで、身近に感じていただけるかもしれません。指の上に乗せたり、いくつも並べたりしながら、作品の背景にある土地や文化にも興味を持っていただけたらうれしく思います。 小さな郷土玩具との出会いが、日本の文化を知り、未来へつないでいくきっかけになれば幸いです。
EXPERTISE
全国各地に伝わる郷土玩具を、指先に乗るほど小さな造形として表現します。
伝統的な郷土玩具に食、動物、季節などのモチーフと遊び心を加え、現代の暮らしに親しむ新しい造形を制作します。
蚊やり豚を舞台に見立て、祭りや物語の情景を表現する箱庭作品を制作します。
ものづくりを通じて、子どもから大人までが郷土玩具や日本文化を楽しく学べる体験を企画します。
INHERITANCE
先人から受け取り、次の世代へと手渡していく文化・技・こころ。
INHERITED
郷土玩具に表された地域の歴史、願い、造形、色彩を学び、指乗りサイズの作品として現代の暮らしへ届けています。
受け継いだ相手: 全国各地に伝わる郷土玩具と地域文化
次世代へ: ミニチュア作品の制作・販売、展示、地域のおみやげ開発、親子向けワークショップを通じて伝えています。
HIGHLIGHTS
2018 / 受賞
京トン漬物屋
2019 / 展示・展覧会
公益財団法人日本郵趣協会
受賞
2019
ACHIEVEMENTS
2018 / 受賞
京トン漬物屋
2019 / 展示・展覧会
公益財団法人日本郵趣協会
受賞
2019
2019 / 受賞
2023 / 受賞
2024 / ワークショップ
2025 / 地域連携
2026.06 / 展示・展覧会
2026.09
品川
GALLERY
人物、作品、工房、活動風景。写真をクリックすると拡大表示します。
PHILOSOPHY
伝統を「小さく」残す。
LINKS
RELATED FEATURES
インタビューや活動紹介、特集記事から、この文化人の活動や想いをご紹介します。

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同じ分野、または共創の可能性がある文化人をご紹介します。
工芸・ものづくり漆芸作家/東京藝術大学 漆芸研究室 教育研究助手
東京都を中心に活動
人との出会いを、漆でかたちにする。
乾漆・蒔絵・螺鈿などの伝統技法を用い、人とのつながりや出会いから生まれる感情や風景を表現する漆芸作家。制作とともに、漆文化を伝える教育活動にも取り組む。
工芸・ものづくり伝統工芸価値創造プロデューサー/着付け師
東京都を中心に全国
職人の手しごとと日本の美意識を、今の暮らしへ。
着物を入口に、日本の伝統色や職人の手仕事に魅了され、伝統工芸の価値を現代へつなぐ活動を展開。着付け、工芸のプロデュース、和文化体験を通じて、暮らしの中に日本の美意識を届けています。
工芸・ものづくり別府竹細工職人・竹工芸作家/有製咲処 主宰
大分県別府市を拠点に、福岡県・東京都をはじめ全国で活動
竹の伝統を編み、現代の暮らしに新たな美を咲かせる。
大分県別府市を拠点に活動する竹工芸作家。伝統的な別府竹細工の技法を生かし、竹かごバッグや生活道具、空間装飾作品を制作。暮らしに寄り添う竹工芸の新たな可能性を追求している。
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